カクテル~Parfait Amour~
『ジュエリー・ボックス』
「もうすぐ、ここにまた新しいピアスが加わるのね。」
妻が手にしているジュエリー・ボックスには、八組のピアスが並んでいる。
「そうだね。
今年はどんなのにしようか。」
ぼく達がささやかな結婚式を挙げてから、もうすぐで十年になる。
その時に、指輪の交換の他に、ぼくは彼女の右耳にピアスを開けたのだ。
妻にしてはずいぶん思いきったことだった。
妻に出逢う前から、ぼくの左耳にはピアスの穴があった。それを知った妻が、左右のあるものでも一つずつできるように右に開けたいと言ったのだ。
そして、毎年結婚記念日に新しいピアスを一組買い、片方ずつ身につけている。
一年間離ればなれで役目を終えたピアス達が、対になってこのジュエリー・ボックスの中で眠っている。
ピアスの数が、ぼく達夫婦の歴史なのだ。
「もうすぐ、ここにまた新しいピアスが加わるのね。」
妻が手にしているジュエリー・ボックスには、八組のピアスが並んでいる。
「そうだね。
今年はどんなのにしようか。」
ぼく達がささやかな結婚式を挙げてから、もうすぐで十年になる。
その時に、指輪の交換の他に、ぼくは彼女の右耳にピアスを開けたのだ。
妻にしてはずいぶん思いきったことだった。
妻に出逢う前から、ぼくの左耳にはピアスの穴があった。それを知った妻が、左右のあるものでも一つずつできるように右に開けたいと言ったのだ。
そして、毎年結婚記念日に新しいピアスを一組買い、片方ずつ身につけている。
一年間離ればなれで役目を終えたピアス達が、対になってこのジュエリー・ボックスの中で眠っている。
ピアスの数が、ぼく達夫婦の歴史なのだ。