カクテル~Parfait Amour~
「衝動を絆に変える…なるほどね…」
付き合いたてのときめきがなくなった、という理由で別れを選ぶカップルを僕は何組も知っている。
「妃緒は今もずっと、水野さんにドキドキしているんだと思っていたけど。」
「そう言われると難しいな。」
口角を上げながらも妃緒は首をかしげる。

「好きになったばっかりの時って、その人の好きな所を深く強く好きだって思うんじゃないかな。それがだんだん、その人のいろんな所をまんべんなく好きになる感じ。
棒グラフで、一つの項目だけ数値が高いと目立つけれど、全部が100なら平らになって目立たないでしょう。だから、『激しい』とか、『強烈』っていう言葉は似合わなくなるの。」
「穏やかな形になっても、水野さんを思う気持ちの絶対量は増えているってことかな。」

うなずく妃緒の携帯電話が光り、メールを読む。
「水野さん?」
「うん。ここの近くに仕事で来ているから、これから一緒に食事して帰るの。」
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