カクテル~Parfait Amour~
  『シルバー・ウイング』


12月26日。開店前の、普段ならまだ大部分の従業員が出勤していない時間。それにもかかわらず、ここで働く人間のほとんどが集まっている。
そう、この二人の結婚を祝うために。

先週のイベントを最後にこの世界を卒業した彼が、おそらくもう滅多に着ることのないであろう真っ白なスーツに身を包み、ふわっとした白いワンピースを着た妃緒ちゃんの手をひいて、中に入ってきた。
服飾の学校を出ている従業員と協力して作ったヴェールを彼に渡す。
彼は、
「ありがとう。」
と言うと、ヴェールを妃緒ちゃんに被せた。みんなが口々に祝いの言葉をかける。

「静かにして。始めるよ。」
音楽をかけ、静かになったところでオレは言った。
「水野高裕、月森妃緒。どんな時も決して離れず、生涯を共にすることを誓いますか。」
「誓います。」
二人の声が揃う。指輪の交換を見届け、言葉を続けた。
「ここに今、一組の夫婦が誕生しました。」
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