カクテル~Parfait Amour~
『アイ・オブ・ザ・ハリケーン』
嵐がやってくる。
川は濁り、水かさがどんどん増していく。
ぼくの元には次々と情報が集まってくる。
水に浸かってしまった低地の村、山が崩れて土に埋もれてしまった村もあるとのことだ。
守らねばならない。できたばかりのこの国と人々を。
部屋の戸を叩く音がする。この叩き方は彼女だ。
「いいよ。」
「陛下…」
「大丈夫、まだみんなが集まるまで少し時間があるから。」
僕が言い終わるやいなや、白いドレスをひるがえして駆け寄ってくる。
「夜明けの時間からだいぶ経つはずなのに、空が暗いまま。部屋から見える川も、何日も濁ったままよ。量も増えてきたわ。」
「心配いらないよ。これからその対策をみんなで考えるんだから。
君はいつもどおり、落ち着いて穏やかでいてほしい。そうすればみんなが安心する。もうわかるね?」
「はい。でももう少しだけ。」
ぼくの背にまわされた腕に力が入る。ぼくも彼女を包む腕の力を強めた。
彼女がぼくの后となって二年が過ぎた。
だがまだ若い彼女が怖がるのも無理はない。
嵐がやってくる。
川は濁り、水かさがどんどん増していく。
ぼくの元には次々と情報が集まってくる。
水に浸かってしまった低地の村、山が崩れて土に埋もれてしまった村もあるとのことだ。
守らねばならない。できたばかりのこの国と人々を。
部屋の戸を叩く音がする。この叩き方は彼女だ。
「いいよ。」
「陛下…」
「大丈夫、まだみんなが集まるまで少し時間があるから。」
僕が言い終わるやいなや、白いドレスをひるがえして駆け寄ってくる。
「夜明けの時間からだいぶ経つはずなのに、空が暗いまま。部屋から見える川も、何日も濁ったままよ。量も増えてきたわ。」
「心配いらないよ。これからその対策をみんなで考えるんだから。
君はいつもどおり、落ち着いて穏やかでいてほしい。そうすればみんなが安心する。もうわかるね?」
「はい。でももう少しだけ。」
ぼくの背にまわされた腕に力が入る。ぼくも彼女を包む腕の力を強めた。
彼女がぼくの后となって二年が過ぎた。
だがまだ若い彼女が怖がるのも無理はない。