カクテル~Parfait Amour~
「目の形がはっきりしている台風って強いよね。」
「そうだね。温帯低気圧になって消滅するころにはもう、目はなくなっているよね。」
客商売をするようになってからの僕は、天気予報もニュースも注意して見るようになっていた。
「強い力を保って進んでいく中心が、あんなに晴れておだやかなんだよね。不思議だね。」
その中心の一番おだやかな所にいるのが自分なのだと妃緒はわかっているから、今の物語を話してくれたのだと思う。

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