カクテル~Parfait Amour~
「妃緒、こんなに長く出歩いたりして大丈夫なの?」
水野さんはかなり速い歩調で入ってきて妃緒の隣に座る。
「大丈夫よ。今日だってちゃんと病院で診てもらって、順調だから少し動いて、やりたいことがあったら無理しないように今のうちにって言われてきたのよ。」
「それならいいんだけど、心配なんだよ。
これからどんどん暑くなってくるんだから、前みたいに脱水症状になったりしたら…
妃緒一人の体じゃないんだよ。」
「わかってます。」

「えーと、あの、ちがっていたら申し訳ないんだけど…」
妃緒がいつもより時間をかけてここに歩いてきたこと、今まで見たことのないデザインのワンピースを着ていること、今日話してくれたのはノンアルコールカクテルの名前の物語だったこと。合わせて考えると一つのことが思い浮かぶ。
「赤ちゃんがいるの。五ヶ月になったところ。11月の前半には生まれる予定。」
本当に幸せそうに二人が笑う。
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