カクテル~Parfait Amour~
「おめでとう、妃緒。
水野さん、おめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
胸がいっぱいになり、黙っていたら泣いてしまいそうだ。
「名前はもう考えてるの?」
「今のところ、女の子なら、『舞咲(まいさ)』が第一候補。
やわらかさも強さも両方持ってる美しく舞えるような人になってほしいから『舞』。
いっぱい笑って、自分の花を咲かせられる人生であってほしいから『咲く』っていう字も使うの。
『咲』っていう字には、笑うっていう意味があるのよ。」
妃緒らしい名前だ。

「男の子なら俺が考えることにしているんですが、どうも男の子っていう気がしないんですよ。」
「そう、今日診てもらったけど、こういう形が写るから女の子でしょう、って。」
「そうですね。お二人のお子さんなら、優しくてかわいい女の子っていう気がします。
いいな…」
感じたことを正直に口にしていた。
「まだまだこれからじゃないですか。
この子が生まれるころには俺、35才になっていますよ。」
僕はこの店のお客には誰にも明かしていない真実を打ち明けることにした。
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