カクテル~Parfait Amour~
美しく身分高く生まれついた人間が背負わされる理不尽を、たった一人で引き受けているようだった。

「一緒に逃げて。」

驚いて顔を上げると目が合った。

その瞬間、出窓から光が差し込み、辺りが金色に染まった。

誇り高かった娘のその一言が、ぼくの全てを変えてしまった。

荷物をカバン一つにまとめ、夜の闇に閉ざされるのを待って、ぼく達はこっそりと家を出た。

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