カクテル~Parfait Amour~
「いつもメニューをずっと見てるよね。
飲むカクテルもだいたい決まってるのに」

気になっていたことを聞いてみた。

「そうだね。
最初はフィズかフルーツ系で、二杯目はミルクだね」
「じゃあどうして、いつもそんなに熱心にメニューを見ているの?
どんなカクテルなのか気になるなら、遠慮なく聞きなよ」
妃緒があまりアルコールに強くなく、甘いものしか飲まないことを分かっていた。

「うん、ありがとう。
でもね、名前を眺めているのが好きなんだ。
そこから物語が思いうかぶの。
カクテルの名前が、物語のタイトルに見える。
このメニューが、短編集の目次みたい。」

そんなことを言う客は妃緒がはじめてだ。
僕は妃緒の心の中を覗いてみたくなった。
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