カクテル~Parfait Amour~
妃緒がデザートを受け取ろうと手をのばした時に、袖口から何本もの赤い線がのぞいていた。
この子の手にこれ以上赤い線を刻ませないために何でもしよう、この時すでに俺は決心していた。
なんとか連絡先を交換し、その日は解散となった。
その頃、俺は小さな会社を立ち上げて一年ほどが経っていた。マンションの一室を仕事部屋にして、他の部屋で生活をしていた。
地元の有力な会社の援助を受けながらなんとか軌道にのり、日曜日以外の9時から17時までの問合せ電話の受付のほかは、比較的時間の融通がきくようになっていた。
妃緒は次第に心を開き、何を食べたとかDVDを借りたとか、たわいのないメールのやりとりをするようになった。
そして、今日も手首を切った、というメールも。
この子の手にこれ以上赤い線を刻ませないために何でもしよう、この時すでに俺は決心していた。
なんとか連絡先を交換し、その日は解散となった。
その頃、俺は小さな会社を立ち上げて一年ほどが経っていた。マンションの一室を仕事部屋にして、他の部屋で生活をしていた。
地元の有力な会社の援助を受けながらなんとか軌道にのり、日曜日以外の9時から17時までの問合せ電話の受付のほかは、比較的時間の融通がきくようになっていた。
妃緒は次第に心を開き、何を食べたとかDVDを借りたとか、たわいのないメールのやりとりをするようになった。
そして、今日も手首を切った、というメールも。