カクテル~Parfait Amour~
「ごめんなさい、一方的に話し続けてしまって。」
「いえ、僕も妃緒さんのことが知りたかったんです。」

今まであえて聞かなかった手首の傷、水野さんとの出会いがよくわかった。
だけどこの二人には、僕には到底考えの及ばない何かがある気がしてならなかった。
かと言って何を聞いたらいいのか迷っていると、妃緒がもぞもぞと動き出した。
「あれ、今何時?
高裕さん!?」
目をさましたらいきなり恋人が隣にいるのだから、驚くのも無理はない。

「2時半だよ。
どうして行き先を教えてくれなかったのかな?
でもね、妃緒の行きそうな場所もやりそうなことも、俺は全部わかっているんだから。」
水野さんはそう言うと、少し乱れた妃緒の髪を手ぐしで整えた。妃緒は甘えん坊の子犬のようだ。

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