カクテル~Parfait Amour~
 『ブラッディメアリー』

「おかえりなさい」
彼女は玄関まで来て、ぼくを迎えてくれた。
パジャマにカーディガンを羽織っている。
11月の終わり、冬の足音が近づいてくる頃だ。

ぼくの背に手を伸ばす。
袖口から見える真っ白な手首には、赤い線が何本も刻まれている。

「体の具合はどう?」
彼女を抱き締めて聞いた。
「あなたが仕事に出掛けたあと、少しまた寝かせてもらったの。
お掃除とお洗濯をして、明るいうちに買い物にでたわ。
夜ごはんを作って、先にシャワーを浴びさせてもらったの。
よかった?」
「かまわないよ。
湯冷めしないようにするんだよ。
ぼくも先にシャワーを浴びてしまうよ」

ぼくがバスルームから出ると、テーブルが整えられていた。
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