カクテル~Parfait Amour~
「結婚式とかは決まったの?」
僕は真っ白なウエディングドレスとタキシードに身を包む二人を想像した。
絵のように美しいことはまちがいない。

「いわゆる普通の結婚式はまだ考えていないの。
だって、私たちがここまでくるのを支えてくれたのは、親戚とか神様ではないもの。
出逢った日の12月26日に、彼のお店のみんなに立ち会ってもらって結婚式する予定なんだ。
でもドレスは着たいから、来年になったら写真は撮るよ。」

「そうか。
普段教会に行ったりなんかしないんだから、それでいいのかもね。
でも忙しいなら残念だな。
また妃緒の物語を聞きたかったのに。」

妃緒は待ってましたとばかりに本をとりだし、真っ白なカクテルを指差した。
「これね、ライラ。」

「アラビア語で、『セレナーデ』、か。」
「セレナーデは、日本語だと『夜想曲』ね。」



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