カクテル~Parfait Amour~
彼女の入浴中に紅茶の準備をしようとしたのだけれど、紅茶の缶のある場所も、棚のどこにカップがあるのかもわからない。

「どうしたの?」
いつのまにか彼女は、タオルで髪をふきながらぼくのとなりに立っていた。

「キッチンに立ったこと、ほとんどないものね。説明するわ。
これから赤ちゃんができたりしたら、あなたにも手伝ってもらわないと。」

家事の大変さはわかっていたけれど、いつのまにか彼女にまかせっきりになっていた。
その快適さに甘えることに慣れきってしまっていた。

「君は家の中のことをみんな知っているんだね。」
「楽しいの。
あなたが、私の作ったごはんを食べて、私の洗濯した服を来て、私が掃除をしている家で、一緒に暮らせることが。」
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