カクテル~Parfait Amour~
翌朝、ぼくは彼女を起こさないようにそっとベッドを離れた。
缶の後ろを読まなければ正しい淹れ方がわからない自分に、苦笑いをするしかなかった。

「おはよう。
この香りはダージリンね。」
彼女は目をさます。
「そうだよ。ミルクは冷たいまま入れて、お砂糖は二杯だよね。」
「覚えていてくれたのね。うれしい。」
「毎日見ていたから。気のせいかな、顔色が悪いよ。」

ぼくは彼女にカップを渡し、となりに座った。

「ねえ、覚えてる?」
紅茶を口に運びながら、出逢ってから今までのあれこれを語り合った。

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