カクテル~Parfait Amour~
「オーダーしていた指輪ができたんです。一緒に見てもらいたくて。」
水野さんはおもむろに、光沢のある小さな紙袋から取り出した箱を開ける。

小さいけれど強い輝きを放つダイヤモンドが埋め込まれた、シンプルなリング。
もう一つのリングはそれより少し大きく、装飾はない。

「内側はちゃんとできているかな。」
妃緒と水野さんはそれぞれのリングを手にとり、僕にも見えるように傾けてくれた。

妃緒のリングには、
「Takahiro December,26」
という刻印、そして淡いピンク色と深いブルーの石が並んでいる。
水野さんの方も内側の石は同じで、
「Hio December,26」
と刻まれている。
お互いの名前を刻んでいるのが二人らしい。

「自分の名前を刻んでも仕方ないじゃない。
ピンクの石はピンクダイヤ。4月生まれの私の誕生石。青い石は高裕さんの誕生石のサファイア。
プラチナで作ってもらったんだ。
それから出逢った日。
入籍もこの日にするの。」

指輪を手にして微笑む二人を見ながら、僕はカクテルの準備を進めた。
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