カクテル~Parfait Amour~
「なんだかありきたりね。」
語り終えた妃緒は言った。
「そうかなあ…」

僕は妃緒の左手の肘から下に、パッと見ただけでは数えきれないほどの傷痕があることを知っている。
生々しさは消え、白くなってはいるけれど。

妃緒は本をパラパラとめくり、写真を指差す。

「次は明るいのがいいかな。
これ、優しいピンク色。」
「キッシー・ローズか。」
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