カクテル~Parfait Amour~
「妃緒、俺はまだ、肝心なことを言っていなかったね。
俺と結婚してください。
妻として、俺と生涯を共に過ごしていこう。」

妃緒の瞳に映る水野さんの顔がぼやけ、涙が溢れだした。

「はい。
死ぬまで、いいえ、死んでも、高裕さんの妻でいさせてください。」

「妃緒、このカクテルはね、『プロポーズ』っていう名前なんだよ。
水野さんがさっき、妃緒に気付かれないようにオーダーしたんだよ。」

妃緒は涙をぬぐい、グラスを手にした。

「乾杯。」

グラスを合わせる音は数えきれない程聞いてきたが、この時程に美しく響いた音を僕は知らない。
二人は手を握りあったままでグラスを口に運ぶ。
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