カクテル~Parfait Amour~
「おめでとう。」

僕は胸がいっぱいで、この一言を言うのがやっとだった。

「ありがとう。
私、ここで高裕さんのこと話して、愚痴のつもりでも、やっぱり私たちは離れたら幸せになれないんだっていう気持ちが強くなっていったの。
だから、がんばってこれた。」
涙を拭う左手には、交換したばかりのマリッジリングが光っている。

「わがままをきいていただいてありがとうございました。
きちんと、妃緒にプロポーズがしたくて、いろいろ考えたのですが、ここが一番だと思ったので。」
「僕の方こそ、立ち会えてうれしく思っています。
またいつでもいらしてください。
僕はずっと、ここで待っています。」


僕は二人がタクシーに乗り込むのを見送った。
12月の真夜中の空気はとても冷たい。
だけどこの二人の周りだけは、あたたかく優しい空気で満たされていた。
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