カクテル~Parfait Amour~
『ロイヤル・ブライド』
どこかの国の王子の結婚式が、電波を占領している。
着飾ったたくさんの招待客や、晩餐会のメニュー、主役の二人が結ばれるまでのストーリー。
どこのチャンネルも、流しているのはそればかりだ。
長いベールを垂らした花嫁がバージンロードを歩いていく。
衣擦れの音が聞こえてくるようだ。
ぼくの膝の上から何かが滑り落ちる。
隣に座っている彼女の編んでいるマフラーがかなりの長さになり、編みあがった部分をぼくの膝にかけていたのだ。
「ずいぶん熱心に見ているのね。」
「君も、こんな結婚式を挙げたかったんじゃないのかなって…」
彼女は手を動かしながら言葉を続ける。
「どうして、こんなに大袈裟にするのかしらね。
誰のための結婚式なのかわからない。
もしこの王子様の周りの人間が全員反対していても、この二人は結婚していたのかなって思うわ。
でもね…」
編み針の動きが止まる。
どこかの国の王子の結婚式が、電波を占領している。
着飾ったたくさんの招待客や、晩餐会のメニュー、主役の二人が結ばれるまでのストーリー。
どこのチャンネルも、流しているのはそればかりだ。
長いベールを垂らした花嫁がバージンロードを歩いていく。
衣擦れの音が聞こえてくるようだ。
ぼくの膝の上から何かが滑り落ちる。
隣に座っている彼女の編んでいるマフラーがかなりの長さになり、編みあがった部分をぼくの膝にかけていたのだ。
「ずいぶん熱心に見ているのね。」
「君も、こんな結婚式を挙げたかったんじゃないのかなって…」
彼女は手を動かしながら言葉を続ける。
「どうして、こんなに大袈裟にするのかしらね。
誰のための結婚式なのかわからない。
もしこの王子様の周りの人間が全員反対していても、この二人は結婚していたのかなって思うわ。
でもね…」
編み針の動きが止まる。