カクテル~Parfait Amour~
「でも、何?」
「親の決めた相手との結婚を受け入れられる人って強いと思う。
私にはできなかった。
あなたまで巻き込んでしまったのですもの。」

ぼくたちは、駈け落ち同然だった。

「この二人には未来の王冠が約束されている。
君には、ぼくと一緒になったからかなわない夢があったんじゃないの?」
「私の一度もゆらいだことのない夢は、大好きな人に愛されて、一緒に暮らして、母親になること。
それだけよ。
あなたは、私と一緒になったことをどう思っているの?」

彼女はソファーから滑り降りると、ぼくの足元に立て膝になり、両手をぼくの膝の上におく。

「幸せだよ。
罰が下るんじゃないかって思うくらいに。
だけど、せめて一般的な結婚式とか、一週間の旅行くらいはさせてあげたかったかな。」
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