屋上から、この想いを。





「橋本、知ってる?俺、地元ココじゃないんだよな」



「え?ウソ?そうだったの?」



「ああ。中3の時に引っ越してきた」






知らなかった…。





もしかしてうちの高校、サッカーではかなり有名だし、サッカーが上手い新井は引き抜かれたのかな?






高3のこの時期になっても全国大会がかかっていて引退できずにサッカー部のキャプテンやってるわけなんだから、サッカーに関してはかなりの実力があることは確かだろうし。







すると新井は、学ランのポケットに手を突っ込んで、いきなりその中身を私に向けて投げてきた。






慌てて受け取った私の手の中には、ほんのりと温かいコーヒーの缶。






「…くれるの?」



「今日は特別にオゴリ。サボって風邪でも引かれたら、俺のせいにされちまうだろ?」



「ありがと…」






新井って変なヤツ。





さっきまで沢村の話を引き合いに出して私のコトからかったかと思ったら、急にこんな優しいコトするし。






気が狂いそうになる。






……惚れはしないけど。








「そーやって優しくすると変に素直になる辺りも、アイツに似てるかな」



「だから、さっきから『アイツ』って誰よ?」



「ん?俺の地元の…中学ん時の彼女」



「え……?」





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