屋上から、この想いを。





彼女??




…こっちに引っ越してくる前の???






新井って高校に入って少し経ってから『女泣かせ』の浮きまくった話が出てた気がしてたから、てっきり女子と付き合いだしたのは高校からだと思ってた。






まさか、中学の時…引っ越してくる前に彼女がいたとは。






でも…、そんな新井の元カノに私が似てるって、どーゆーコト???








「付き合い始めて2か月ぐらいで、親父の転勤でこっちに引っ越すことが決まってさ」



「そうなんだ。じゃあ…、別れは辛かったんじゃない?」



「お互い嫌いで別れたわけじゃなかったから。だからヤケになってたんだろーな。入学してからアイツのこと忘れようと思って色々女子と付き合ったけど…」



「…『けど』?」






新井はきっと、その元カノのコトを今も想ってる。





私はふと…そう確信した。






だって、元カノのコトを話す時の新井の顔、とても切なく見えるよ。






会いたくて…会いたくてたまらないって顔、してるよ。








「あん時の俺、バカだったな。偶然修学旅行の時、アイツの生徒手帳拾ったんだ。そしたら俺が送ったメモ書きが挟まってた。すげーボロボロになってるのに…、大切にしまわれてた」



「そっか。きっとその元カノも、アンタのコト忘れてなかったんだね」






だから…、『女泣かせ』の異名を返上したってわけか。






新井って、ただのサッカーバカの遊び人かと思ってたけど、ウワサと全然違うじゃん。






こんなに…、会えるかどうかも分かんない元カノのコト、一生懸命想ってるなんて。





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