屋上から、この想いを。





私の引き留めも虚しく、新井は背を向けて軽く右手を振ってから校舎の階段へと続く扉を開けて姿を消した。






ただ一人残された私。





…急に屋上に吹き込む風が冷たく感じる。







新井、私に何が言いたかったわけ?





新井の中学の時の元カノと私が似てる…。





しかも意地張ってるところが……。






確かに…密かに沢村のコト想ってたけど、別に今までの態度は沢村にそのコトを悟られないようにするためで……






…って!!





もしかして沢村…、そんな私の気持ちに気付いてるっ!?





気付いてて、面白がってからかってる!?






だって、さっき新井が言ってた。





付き合い始める前の元カノからかうのが面白かったって──。






それにあのヒント。





付き合い始める前の新井と元カノをなぞってるって。






ウソでしょ?



新井が勝手に想像して言ってるだけでしょ?






何か、急に心臓がドキドキいってきたかも。





こんな気持ち、やめてやるって…何度も思ったのに。






沢村だけ余裕で、私はいつも焦ってばかりで。





おんなじコトの繰り返し。





からかって、からかわれて、ムカついて。






沢村……、アンタ一体私に何をしたかったのよ?





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