屋上から、この想いを。
ふと、手の中に入っていたコーヒーの缶を見つめる。
さっき新井からもらった時には少し温かかったけど、すっかり冷めてしまったみたい。
私は街の風景が一望できるフェンスを背に、缶のプルタブをゆっくりと開けた。
コーヒーを一口飲むと、口の中にほろ苦さが一気に広がった。
…まるで、今の私の気持ちみたいだった。
私があんなどーしよーもない王子様を好きなわけはきっと…
他の女子の前では見せない、素の沢村が私の前にいたからなんじゃないかと思う。
イツワリの王子キャラなんて大嫌い。
だけど…、王子が時折垣間見せる、私をからかうイタズラな笑顔にはウソなんてない気がしてた。
たぶん、そこに惚れちゃったんだ。
ねえ、沢村。
何で私のコトしかからかってこないの?
何で私には『可愛くない』なんて言うの?
その言動全てが、アンタの友達の新井の言う通りなんだとしたら…
私はこれからどうすればいい?
意地を張らずに素直にアンタに接すればいいの?
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