屋上から、この想いを。
@教室
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屋上からの階段を降り切ったところで、5限の終わりを告げるチャイムが校内に鳴り響いた。
左手には、飲み干したコーヒーの空き缶。
教室に戻って新井の姿を探してみるけど、やっぱりというか、当然というか…新井はいなかった。
席に戻ると、待っていたかのように隣に座っていた沢村が私に話し掛けてきた。
「橋本、どこ行ってたんだよ?橋本がいないから、俺が日本語訳当たったじゃないかー」
「…あっそ。それはご愁傷様」
「お前ホント……」
「『可愛くないな』。でしょ?もーいい加減聞き飽きた」
そこまで言って机の上にコンっと音を立てながらコーヒーの空き缶を置くと、沢村は少し目を見開いて驚いた顔をした。
「なっ、何か調子狂うな〜」
「…さっき新井に会ったよ。アンタ友達らしいじゃん。同じクラスだけどそんなコト全然知らなかったよ」
「……ああ、優祐?アイツ部活以外の時間なのにガッコ来てたんだ?てか、橋本と優祐って…すげーミスマッチな組み合わせ…」
「まあそんなコトはどーでもいーのよ!それより…」
そうだよ、また同じコトを繰り返すところだった。
この状況を変えなきゃ。
変わるんだ、私自身が。
意地張ってないで……
素直になれ、私…っ!