屋上から、この想いを。





「………日本語訳、代わりにやってくれてありがと……」








ううっ。



素直になるのにこんなに勇気がいるなんて思わなかった。






声、明らかに超小さいし。






こんなんで沢村に聞こえたかどうかも分かんないよ…






…とか思ってたら。






私の机の上のコーヒーの空き缶が、急に上に浮かんだ。






「…沢村?」



「机の上に飲み物置いてたら先生に怒られっぞ。次の数学の大野、厳しいからな」






空き缶が浮かんだと思ったけど、それは沢村が缶を上から掴んで持ち上げたからそう見えただけだった。






沢村はその空き缶を持って教室を出て行った。






その間にもクラスの女子から黄色い声を浴びて、アイドル顔で手を振ってたけど。






…でも。




いつもみたいに嫌な気は全然しなかった。






私が素直になったから、沢村も応えてくれた…?






でも、私の言葉が聞こえたかどうかも分かんないのに。








結局沢村は缶を捨ててきてくれたみたいで、6限が始まるギリギリになって手ぶらで教室に戻ってきた。






さっきの私の素直になった言葉…、聞こえてたかどうか確かめたかったけど、沢村が席に座ると同時にチャイムが鳴って数学の大野先生が入ってきたから、聞けなくなってしまった。













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