屋上から、この想いを。

―――――
――










少しひんやりとした風が吹いているけど、日なたに行くとポカポカとした暖かみを感じる…





そんな、11月の爽やかに晴れたある日の昼休み。








「見て、葵!また沢村くん告られてるみたいだよー」



「はぁ?」






ここは県立K高校、3年4組の教室。





クラスの女子達が窓から見える中庭に注目している中、私、橋本葵(はしもと・あおい)はお弁当に入っていた卵焼きを口に頬張った。






「ああ…沢村くん、どーするんだろう?」



「今日のコ、可愛くない?1年生かなぁ?」



「ヤバイ〜〜!ついにK高の王子がぁぁぁ!!」






自分の教室でこんなに騒がれながら、中庭で、とある女子からの告白を受けているらしい彼は、沢村浩人(さわむら・ひろと)。






周りの女子からは密やかに『K高の王子様』と呼ばれるほどのイケメン。






確かに…今まで男になんてさほど興味のなかった私から見てもスラっと足が長くて背は高いし、顔は小さくて切れ長の瞳にスッとした鼻、バランス良く整った口。






パッと見どっかのモデルみたいな感じに見えるんだけど…






本人も女子にモテることを意識してるのかどうなのか、調子に乗って茶髪にしてるのがどうも気に食わない。






しかも、それが似合ってしまってるから余計に。








「葵ーっ!気にならないの?」



「昼食のが大事」



「えー!?相手のコ、かなり可愛いよ?」



「沢村がどーなろうが、うちらはどーにもできないじゃん。みんなして騒いでも……」



「まーたあんなコト言ってる…葵は」





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