屋上から、この想いを。
あ〜はいはい。
分かっていますよーだ。
クラスの女子でそんなコト言ってるのは私だけだってことぐらい。
でも…たぶんホントは誰よりも気になってるんだ、アイツのコトは。
別にみんなと同じように、沢村がイケメンだから気になってるってわけじゃない。
ただ…
何でこんな、見た目大して可愛くもない私に毎度毎度飽きることなく話し掛けてくるのかな…って。
まあ…、「話」というほどちゃんとしたコト話してないけどねっ!
「うわっ。女の子泣き出しちゃったみたいだねー」
「…ということは、振られた?」
「また沢村くん女子振ったのかぁー。これで何人目?」
「K高新記録更新したんじゃない?」
またアイツ振ったのか。
下らない記録更新しちゃって、何なんだか。
でも…、心のどこかで安心している自分もいる。
沢村がたぶん振るんじゃないかな…とは思っていても、やっぱり告られてる間は胸がざわめいているし。
こんな自分も何なんだかって思うけどさ。
「あっ、沢村くん帰ってきたー」
「ちょっと沢村くん!さっきの女子は!?」
「え?みんな見てたのか?」
…知ってたクセに。
最近完全にこの告白シーンをパフォーマンス化してるよな…アイツ。
教室に帰って来たばかりの沢村に、クラスの女子達が騒ぎながら群がっていく。
私はそんな様子を横目に、お弁当箱のふたを閉じた。