Nocturne
「毎日連絡取っていたのに、俺は樹里が苦しんでいたのも気づかなかった。
本当にすまなかった…っ」
―――皇は私に、頭を下げていた。
どうして。
どうして。
どうして…っ
あなたは私にそんな事をするの。
どうしてあなたは私に、そこまでするの。
大企業の、社長でしょ?
「そんなこと、やめて!」
「じゅ…」
「もう、終わったことなのっ!過去のことなの!」
今更、どうにもならない。
どうにかなったとしても、
あなたと私じゃ、何もかもが違いすぎる…。
でも私は気付いてた。
彼の姿を視界に捉えた瞬間に、心の中に芽生えた、“何か”に。
でも気付かないふりをする。
それは、私自身のため?
それとも、―――彼のため?