Nocturne




「…私、高柳とは結構仲が良くってね。
その繋がりで帝とも出会ったんだけどね、ほんと、あいつはいい奴だわ」

「…はい」

「私と帝が喧嘩したら、何の気なしに間を取り持ってくれたりとかね」

「…」




皇らしいや。

そう思うと、自然と笑みがこぼれる。




「だから、私、成瀬さんがここに配属されて来たとき、本当にびっくりしたのよ」




『だって、彼の話していた通りの名前と人がくるんだもの』と藤代さんは笑いながら言う。
あの日を思い出す。


『本日からお世話になります、成瀬 樹里です』


ここに入社したあの日を。




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