Nocturne
「右も左もわからない私を、育ててくれたのは藤代さんです。
本当に藤代さんは私の尊敬してる先輩です」
「いやね、そんな風に言わないで。照れるわ」
「…けど、だからこそ」
「…」
「私はこの会社に居たい」
この会社に凄く私は救われた。
大学に行っても、確かにいろんな国の友達も出来て、楽しかった。
だけどいつもどこか、心はここにあらずって感じで。
勉強にただ必死に打ち込むばかりの私。
そんな私を、社長は受け入れてくれた。
きっと大学名を見たんだろうとは思う。
けど、私を必要としてくれたということが、嬉しくて。
救われたんだ、あの頃の私は。
だからこそ、
「昨日も言った通り、私は会社を辞めることはしません」