Nocturne
藤代さんの過去
そんな衝動を藤代さんは、
「拒否されたくないから逃げたいってその気持ち。
私だって、そうだったからわかるわ」
そう言ってくれて。
絶対嘘でしょ?と思っていたけれど、私に嘘を言っているような風ではなくて。
藤代さんを拒否するような人なんて絶対に居ないだろうに、と思いながらも、私は耳を傾ける。
「帝とね、付き合う前に別の彼氏が居たのよ、私。
その彼、凄い酷い男でね、気に入らないことがあったらすぐに私に手を上げたりして、とにかく最悪な男だったの。
でも好きだったから『別れよう』だ何て言えなくてね」
「…DV…ですか?」
藤代さんに限って、そんなこと、ないって。
藤代さんみたいに綺麗で、カッコよくて。
すごく頼りになる人に限って、そんなことって…。
私は耳をふさぎたくなった。
そんなこと、ドラマとか、小説とか、身近にはいないと思っていたから。
けれど、