Nocturne
愛は必ず勝つ。
「樹里、大丈夫か?!」
「え…あ…うん」
親父、と叫んだ後、私の所に真っ先に飛んできた皇。
私の全身を…言い方は悪いかもしれないが、舐め回すように見て、傷一つないことを確認するとほっとしたような面持になる。
…よくわからない話の展開についていけない私は曖昧に返す。
…何でここに居るんだろう。
私は居場所を言った覚えはない。
…ということは。
「…金光」
「…すみません、総帥。
皇様が強行突破で入られてきたので…」
SPも私も止めることができませんでした、という金光さん。
…本当にそうなのだろうか、と疑う私は悪い奴なんだろうか。
だって、言ってもないのにこんな偶然ってあり得ない。
なら、“誰か”が私がここにきていると言わない限り、皇が知るはずがない。
…そう思うのだけど違うだろうか…。