Nocturne




確かに、あの時の私に、家族を捨てて皇を取るだなんてこと、できない。

きっと、出来なくて当たり前だと思う。




「だが、君は実に優秀な人材へと成長した」

「…」

「十分私は、樹里さんに悪いことをした。
―――だからもう、私は何も言わない」

「え?」

「皇と、一緒になりたいというのなら、一緒になりなさい」




私は何も言わない、と言った匡仙さん。


…―――空耳かと。

私は疑った。


今、
―――今。

『一緒になっていい』って。


それはつまり、

“結婚していい”って、そういうこと…?


私がそれを理解した瞬間、



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