Nocturne



わかってたよ。
きっと、そう言う存在が居るだろうって。

私なんかよりも、彼に見合う婚約者だっているはず。

それを知っていても、付き合っている私は一番のバカ。



『…でも』

『…』

『それを決めるのは、私じゃないです』



そうだ。
私が決める事じゃ無い。

これは、他の誰でもない、彼が決める事。
―――私が責められる必要なんて無い。

この時はそう思ってしまっていたんだ。
…私は、怖かったんだ。



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