Nocturne
第3章 『理想と現実の狭間で』
分かりにくい優しさ
次の日。
朝早くにドアがノックされた。
…誰?
まだ六時前だよ…。
そう思いながらも、
「はーい…誰?」
部屋のドアを開けると、
「…姉貴」
予想外の人物が立ってた。
「…え…どうしたの、竜也…?」
「…」
深刻そうな顔をする。
そんな竜也の分かりやすい顔に、私はなんとなく感じ取れた。
私の、昨日の晩の泣き声が、隣の竜也の部屋に聞こえていたんだと言う事。
けど、気付かないふりをする。