Nocturne
“この写真の奴が、金光【かねみつ】って言うんだ”
「もしかして…金光さん…ですか?」
見た事があると思ったら…皇が前に教えてくれた人だ。
金光 拓麻【かねみつ たくま】さん。
皇の専属秘書…だと皇は言ってた。
皇とは10年以上の付き合いだとも。
そして皇にも負けず劣らずのイケメンさん。
でも、仕事の鬼だとかであまりモテないんだとか。
「…やはりご存知でしたか。
皇様の“お気に入り”でしたからね、貴女は」
「…嫌味ですか、それ」
「おや、失敬」
「…別にいいです。
…私はそれだけのことをしていますから」
「…どうして私が“そのこと”を知っていると?」
“そのこと”
それは、私と皇の昨日あった事。
別れ話のことだろう。
だって、何となく気づいてた。
「皇は、あなたをすごく信頼していたから…」
皇はいつも、
『金光がな!』と話していたのを思いだす。
…皇が、信頼している人。
皇が、話さない訳が無い。