愛してるとか。
瞳を開けると俯く拓郎が視界に写る。
有り得ない、そう思った。
一生懸命お互いに親友というボーダーラインを乗り越えないようにしていたんじゃないの?
「……どうして黙ってるのよ。あー、これで拓郎との親友ごっこも終わり。今までありがと」
そう下を向いて俯く拓郎に言葉を投げかける。
いや、投げつけた。
男女の友情なんて存在しないんだ。
そう心に言い聞かせて、わたしは鞄を手に席を立つ。
「……待てよ」
やっと口を開いたと思えば拓郎はわたしの腕をキリキリとするまで掴む。
「……いたっ…!」
顔を歪ませて拓郎を睨んでも力を緩めてはくれない。
拓郎は、わたしを見つめたまま今まで見たことのない真剣な顔をしている。