タイトル未定
私が乗り込んだ新幹線は、品川を経ち東京・上野に停車をすると、大宮を経由して一気にスピードを増した。
向かうは首都圏を抜け郊外、到着には今しばらく掛かるだろう。
(……嫌だな、この時間何をしてろっていうのよ)
おもむろに仕事に関する資料を取り出そうとするが、思い返しその手を引っ込める。
今更か……、心の奥で私は呟いた。
東京本社での私の役目は、もうすでにない。
商品企画部のメンバーだったのは過去の話だ。これからは販売部として、全く違う仕事をしていく事になる。
彼とは全く別の……。
「……っ」
思わず私は自分の唇を噛み締めた。
嫌な事を、何故こうして思い出してしまったりするのだろう。
要らないと思ったから――もういい、どうでも――と思ったから、私は全部捨ててきたつもりだった。
東京の、あのちっぽけなデスクの中に……。
なのにどうして思い出してしまうのか、私はやけに悔しくてやるせない気持ちでいっぱいだった。
記憶はさらに遡りを始めていく。
『捨ててきた』なんて、結局は表向きの嘘だったのかもしれない。
私の心には、まだこんなにも強く、あの人の面影が残っていたのだから。
向かうは首都圏を抜け郊外、到着には今しばらく掛かるだろう。
(……嫌だな、この時間何をしてろっていうのよ)
おもむろに仕事に関する資料を取り出そうとするが、思い返しその手を引っ込める。
今更か……、心の奥で私は呟いた。
東京本社での私の役目は、もうすでにない。
商品企画部のメンバーだったのは過去の話だ。これからは販売部として、全く違う仕事をしていく事になる。
彼とは全く別の……。
「……っ」
思わず私は自分の唇を噛み締めた。
嫌な事を、何故こうして思い出してしまったりするのだろう。
要らないと思ったから――もういい、どうでも――と思ったから、私は全部捨ててきたつもりだった。
東京の、あのちっぽけなデスクの中に……。
なのにどうして思い出してしまうのか、私はやけに悔しくてやるせない気持ちでいっぱいだった。
記憶はさらに遡りを始めていく。
『捨ててきた』なんて、結局は表向きの嘘だったのかもしれない。
私の心には、まだこんなにも強く、あの人の面影が残っていたのだから。