タイトル未定
「本当のところ、どうなんだね?」
東京本社での最後の日、私を応接室に呼び出した人事部長が、声を詰まらせながら今更のように尋ねてきた。
聞いたところで何になるのだろう。証拠はなくとも、火のないところに煙は立たない。
私がもう今日しかココに居ることが出来ないという事は、そう判断した、という事だ。
「どういう意味でしょうか?」
その言葉に苛立ちを隠せずに、皮肉めいた言葉を返してる自分が、そこには居る。
「いや、……だから、君と……大西君との噂というのは」
私の言葉に、人事部長はさらに言葉の先を詰まらせている。
「今更、お話しする事はありません」
私は無意識に答えを吐き出していた。
「噂は噂ですが。……どうぞ、ご想像にお任せします」
そう告げると、私は応接室を後にした。
弁解も真実も今更、どうだっていい。
だって、もう終わった事。
終わりなのよ。
これまでの関係も、彼の気持ちも、私の気持ちも……。