愛を知ったとき。





ガタンガタンと電車が揺れている音が心地いい。




窓から見える景色は青々として
ふと、おばあちゃんの顔が浮かんで涙を浮かべた。








30分前…



「凛子、ちゃんと食べるんだよ?飛鳥にもよろしくね」

そういつものように笑いあたしの頬を優しく触った。

「おばあちゃん…」

涙を浮かべると

「もう、子供じゃないんだから。シャキッとしなさい。手紙、書くからね?
あんたの好きな野菜も送る。で、たまには遊びに来るんだよ?」

あたしは、うん、としか言えなかった。

「ほら、電車行っちゃうよ!」

そう言ってあたしの背中を押した。

「行ってきます」

あたしは精一杯の笑顔をおばあちゃんに見せて前を向いて歩き出した。



少しして振り向くとおばあちゃんは泣いていた。





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