涙空
下におりると、お母さんがピンクのスーツを着て慌ただしく走っている。
「お母さん何してんの?」
あたしはお母さんに呼びかけた。
「あのね、もう片方のピアスがないのよ〜」
お兄ちゃんは車の鍵を持って
「母さん!!先車に乗ってるからな!!」
お兄ちゃんはそう言ってあたしに笑顔を向けて玄関に歩いて行った。
あたしもお兄ちゃんに続いて行った。
あたしは新しく買ってもらったローファーを履いた。
ドアを開けると、ブワッと冷たい風が入ってきた。
「4月なのにまだ寒いな〜早く車入ろうぜ。」
お兄ちゃんはそう言って先に車に入った。
あたしも車に入った。