お見合い結婚



「初めまして、文月 響真と申します。」

顔を上げてから、
言葉が出なかった。

文月さんの顔を見て、

泣きそうなくらいの、文月さんの悲しい目を見て。


「…………」


「南雲、さん?」

「…あっ、あの…」

結婚の話は、なしに
って言いたいのに。


「南雲さん、お願いがあります。」

「な、なんでしょうか!」


「僕を好きにならなくていいです。けど、お願いです。僕と婚約だけ交わしてください。」



…は?
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