お義兄様は官能小説家?!(仮)
3
「え…お義兄ちゃん…?きょう…りょく…?」
急に態度の変わったお義兄ちゃんに、あたしはぽかん、と間抜けに口を開けて見つめることしか出来なかった。
そんなあたしに、お義兄ちゃんはクツクツと笑いながら言う。
「そ、協力。オレ、実は今スランプなんだよねー…そろそろアシスタントが欲しいと思ってたんだ」
アシスタント。
とても作家らしい響きだが、漫画家ならともかく小説家にアシスタントなんて聞いたことがない。
しかもお義兄ちゃんが書いているのは、信じられないがエッチな小説だ。
アシスタント、ということは、つまりー…
「…そう、オレとエッチなことしてよ、亜梨香」
「…ーッ!」
お義兄ちゃんはまるであたしの思考を読んだかのように、タイミングよくそう言う。
直球なその言葉に、あたしは思わず赤面してしまう。
「何赤くなってんの?亜梨香ももう18なんだから、それ位平気でしょ?…それともまさか、まだ処女なの?」
バカにしたようなその問いに、あたしは更に顔に熱が集中するのを感じた。
…そうだよ!18にもなって、彼氏どころかボーイフレンドの一人もいないよっ!
「へぇ…そうなんだ…」
お義兄ちゃんはあたしの答えも聞かずに確信したようで、クスクスとまるで嘲るかのように笑う。
それにますます恥ずかしくなって、あたしは何も言えずに俯く。
「ーじゃあ、オレが教えてあげるよ」
「ーえ…?」
お義兄ちゃんはひとしきり笑った後、あたしを真っ直ぐに見つめてそう言った。
「だから、オレが亜梨香に男を教えてあげる…」
お義兄ちゃんの端正な顔が、ぐっと近付いてくる。
それに思わず見惚れていたら、唇に柔らかなものが一瞬、触れた。