お義兄様は官能小説家?!(仮)
「お邪魔しまーす…」
恐る恐る、木目調の扉を開ける。
部屋の中は意外と片付いていて、とてもお義兄ちゃんが言っていたような状態ではない。
「なぁんだ、全然散らかってないじゃん」
その様子に、あたしは思わずそう呟いた。
お義兄ちゃんの話じゃもっと足の踏み場もない位ぐっちゃぐちゃに汚れてるイメージだったから、ちょっと拍子抜けしてしまう。
室内にはベッドと机、それに沢山の本が詰まった書棚。
それだけしかない。
きっと必要最低限のものしか置いていないんだと思う。
机の上にはノートパソコンや辞書、資料らしき難しそうな本や分厚い本がいくつか置いてあって、いかにも作家さんらしい。
「…ん?」
何気なく視線を移した机の上。
そこに散らばった紙の束を見つけて、あたしは思わずそれを手に取る。
そしてその上に散らばる文字の羅列に、無意識に目を走らせた。