俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
(今だっ!)
蒼はその一瞬の間を見逃さずに、フレンを引っ張りながら雲のさらに上のほうへと飛び上がった。
「しまった!」
男たちが見上げたときには、すでに二人の姿は真夏の積雲に隠され見えなくなっていた。
慌てて男たちは二人のあとを追って、空高く飛び上がった。
「あお! あおーーっ!!」
石畳の破片が散らばり、砂でぐちゃぐちゃになった屋上の真ん中で、千鶴が叫び続ける。
突然の嵐に、部活途中だった生徒たちの騒ぎが校庭で沸き起こっていた。