俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
「……なんだか疲れちゃった…」
口角を上げて笑おうとしても、声さえもう出ない。
雨は一層激しく、まるで弾で打ち付けるように、地上を攻撃し始めた。
学校の近くの森にまでたどり着くと、倒れこむように木のふもとに腰掛けた。
飛ぶ気力もなく森を抜けて、引きずるような足取りで家路へと向かった。
きっとすれ違う人は違和感を抱いただろう。
こんな酷い雨の中、傘も刺さずに歩く女子中学生を見て。
そんな視線を気にせずに、蒼はただ真っ直ぐ家へと繋ぐ道を歩いた。