俺様天使とのキスまであと指輪一個分。
「北海道のおばさん、ほら、奈美姉さんがね、骨折したらしくって。旦那さんは海外に出張中だし、すっごく困ってるみたいでね。うちもパパが単身赴任だから辛さが分かるからさあ。美津子は夏休み中だし、夏の北海道も魅力的だし」

早口でまくしたてる美津子ママは、つまりは、北海道に旅行したいようだった。


急な思いつきの旅行なんて別に今日に始まったことじゃない。


先月はヨン様に会いにいくと置き手紙をして韓国旅行に出かけたくらいなのだ。


「私は一人でも大丈夫だから。ママ、行ってきなよ」

「それが一人じゃないのよね」

その言葉に、美津子も千鶴も、頭上にハテナが浮かんだ。
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