俺様天使とのキスまであと指輪一個分。


「一人、じゃない?」



あまりの驚きに美津子も千鶴も、廊下の足音に気づかない。


「あのね…その…北海道のおばさんのとこの坊や…を預かってほしいの。そのほうがおばさんも(私も)ゆっくり旅行を堪能…いや、療養できるでしょ? ちょうどさっき家に来たのよ」


その坊やはゆっくりと三人の傍に近づいた。


「久しぶり」


美津子も千鶴も固まって、彼を見上げた。


「坊や?」


なんて、可愛い言い方とはかけ離れた、すらっと背の高い、随分大人の青年が二人の目の前に立っていた。



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